約 1,207,078 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/391.html
せつな「う~ん…疲れたわ。」 コンコン ラブ「せつな~英語の宿題どう?」 せつな「精一杯頑張ってるわ。だけどリスニング対策が聞き取りにくくて難しいのよ。」 ラブ「う~ん……あっ、そうだ!せつなにこれ貸してあげるよ。」 ラブは一旦自分の部屋に帰る。 せつな「?」 ラブ「あったあった、これだよ。」 ラブはCDをせつなに渡す。 せつな「このCDどうしたの?」 ラブ「実はね…せつなの為に買ったんだ。」モジモジ せつな「ラブ……ありがとう。」ニコッ ラブ「えへへっ。それじゃあ頑張ってね。」 せつな「ラブも頑張ってね。」 ラブ「うん、頑張るよ♪」 バタン せつな「ええと…三枚あるわね。どれから聞こうかしら…ビートルズフォーセール…ヘルプ…ビートルズ1……ビートルズ1から聞こうかな。」 二週間後… ラブ「凄いよせつな!!!英語百点だなんて!!」 せつな「ラブのおかげよ。リスニング対策のあのCDがあって助かったわ。」 ラブ「わはー役に立って嬉しいよ。」 せつな「それでね。ラブ…」 ラブ「何♪」 せつな「あのCDってどこで買ったの?」 ラブ「駅前のCDショップだよ♪」 せつな「ありがとう♪」 二日後…CDショップ せつな「ええと、BE…BE…あった。 いっぱいあるわ…どれにしようかしら?…あっ、このアンソロジーってのにしてみよう。」 家 せつな「曲は多いけど…なんか中途半端に終わるわね…んっ?このアルバムはデモテイクや未公開音源を集めています…」 せつな「間違えて買っちゃった…」ガーン ラブ「せつな、ビートルズにはまったのかな? なら、明日辺りにCD買ってきてあげよっと♪」
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/252.html
「幸せを重ねて」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY R18 素肌を撫でる微風が火照りを奪って行く。 月明かりにほの白く浮かび上がるせつなの滑らかな背中。 肌寒さを感じて目を覚ました瞳に、半分開いた窓に揺れているカーテンが映った。 軽く身震いし、閉めようと半身を起こした所で腕を掴まれ、ベッドに引き戻される。 「どこ行くの………?」 半覚醒の少し籠った声。咎める音を含んだ囁き。 「あ……、窓、開いてるから……」 ラブは無言でせつなを胸に引き寄せる。 肩口まで布団を引き上げ、冷えた肩や二の腕を撫でさする。 これで寒くはないだろう、と言わんばかりに。 また一緒に暮らし始めて随分経つ。 こうして裸身を重ねて過ごす夜も、最早特別な事でなく 当たり前の日常となって久しい。 それでもまだ、ラブは時折不安そうな素振りを見せる。 さっきのようにせつなが不意に離れる事を酷く嫌がるのだ。 意識してか、無意識なのか二人きりの時は常に体のどこかが触れている。 何をする訳でもなく、指を絡めて来たり、隣に座って凭れかかって来たり。 さすがに人前では控えているが、それでもせつなが視界から消えると落ち着かなさ気に 視線をさ迷わせている。 一瞬でも放したら、そのまま何処かへ行ってしまう。 心の奥に宿ったのは、取り戻した安堵とまた失う不安。 「側にいるから。」 「もうどこにも行かないから。」 いくら繰り返してもすぐには安心しては貰えないのだろう。 信用ないのね。と言う苦笑い。 無理もない。と言う自戒。 散々振り回して来たのはこちらの方。 出会いからして出鱈目な占いから始まったのだから。 (ごめんなさい。) せつなは思う。 ラブから貰った溢れんばかりの宝物。 愛してくれた。叱ってくれた。すべてを許し、包み込んでくれた。 友達を、家族を、愛する人を、一人ぼっちだと立ち尽くしていた自分にもたらしてくれた。 それなのに、自分はラブに何を与えられただろう。 繋いだ手を振りほどいた。 迎えてくれた温かな住み処を離れて行った。 戻って来たところで、またいつか飛び出してしまうのではないか。 そう思われるのは仕方ないのだろう。 自分で決めた事は何があっても翻さない。それはもう立証済みなのだから。 (私、もう離れないから。) だから、一つ一つ。積み重ねて行く。共に過ごす日々を。 側にいるのが当たり前。またそう感じて貰えるように。 体中を撫でるラブの手のひら。 それは愛撫と言うより、腕の中に収まっているものの存在を確かめようとしているようで。 せつなの胸の奥がツンと締め付けられ、苦しくなって。 せつなはラブの体に腕を回し、頬を擦り寄せる。 体温を移し合い、一つの温もりになって行く。 「………ねぇ。……もう一度…。」 精一杯、甘えた口調で囁いてみる。 ラブは一度、ぎゅうっと強くせつなを抱き締め顔を覗き込む。 その顔に浮かぶのは、正に天真爛漫と言うのが相応しい太陽のような輝く笑顔。 ついさっきまで勤しんでいて、そしてまたこれから行おうとする淫靡な行為とは かけ離れた無邪気に弾けるような表情。 せつながこんな事を言って来るのは本当に珍しくて。 それが嬉しくて嬉しくて堪らない。ラブの全身がそう言っている。 せつなは顔だけでなく身体中が真っ赤に染まっている気がした。 どうしてこんなにも素直に応えてくれるのか。 いっそからかってくれた方が気楽なくらいだった。かえって恥ずかしくなる。 「あの…、疲れたならもういいんだけど…」 つい、照れ隠しにもならない心にもない台詞が口を突く。 「何をおっしゃいますやら。今さら取り消しは許さないよ~。」 これまた月明かりの中では不似合いなくらいの陽気な声。 せつなは逃れるようにうつ伏せになろうとするが、ラブの方が一瞬速かった。 両手首を掴まれ、ベッドに縫い付けるように仰向かされる。 せつなが口を開く前に、ラブは自分の唇で抗議の声を封じ込める。 こうなったらラブの勝ち。もうせつなは逆らえない。 唇から体へ。ラブの口付けは戯れながらせつなの白い肌の上を踊ってゆく。 啄むような、擽るような、軽く優しい唇。 それが徐々に熱を帯び、せつなの敏感な部分に集中してまとわり付き始めた。 揺らめき、溶けて広がって行く快楽の海にその身を漂わせる。 とうに肌寒さは忘れていた。 また一つ、幸せが重なっていく。 明日も、明後日も。共に有る限り。
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/11660.html
このページはこちらに移転しました せつないきもち 作詞/455スレ383 作曲/らめえええぇぇぇっぇ 腐ったリンゴは 腐りかけのちょっとおいしいメロンに は なれないって 車掌さんに言われたんです それはどうでもいいけど 僕は おじいちゃんの 孫です あしのつめは カツオと昆布よりいいダシが 出るわけないって 八百屋さんのオウムに言われたんです それはどうでもいいけど 僕は おじいちゃんの 孫です 音源 せつないきもち
https://w.atwiki.jp/newloveplus2ch/pages/74.html
NEW関連とNEW発売前後の旧仕様のグッズまとめページ ゲームソフト コナスタ限定品 3DS周辺機器 フィギュア 小物 書籍 プライズ その他 上記からダウンロードコード、パスワードが付いているものまとめ ゲームソフト [部分編集] 通常版 発売日:2012年02月14日(火)予定 メーカー希望小売価格:6,980円(税込) ジャンル:コミュニケーション 対応機種:ニンテンドー3DS CERO年齢区分:C 【特典情報】 コナスタ:NEWラブプラス 3Dクリアファイル ・ラブプラスご当地ピンズ その他小売は公式の店舗特典まとめで。 NEWラブプラス アートブックセット限定版(ネネ、リンコ、マナカの3種類) 一般流通店販売の限定版 メーカー希望小売価格:9,980円(税込) 【同梱内容】 ソフト1本 ○○画集(ネネ、リンコ、マナカから選んだもの) カノジョ3人のイラスト画集 書き下ろしボックス(ネネ、リンコ、マナカから選んだもの) コナスタ限定品 [部分編集] NEWデラックス コンプリートセット(ネネ、リンコ、マナカの3人から選べます。) メーカー希望小売価格:33,850円(税込) 【同梱商品】 NEWラブプラス “NEW○○デラックス”(ネネ、リンコ、マナカから選んだもの) ラブプラス Art Book Complete Box(選んだ彼女仕様) NEWラブプラス Original Soundtrack 【特典】 NEWラブプラス ポスター NEWラブプラス 3Dクリアファイル ラブプラスご当地ピンズ (ランダム1個) NEWデラックスアートブックセット(ネネ、リンコ、マナカの3人から選べます。) メーカー希望小売価格:26,980円(税込) 【同梱商品】 NEWラブプラス “NEW○○デラックス”(ネネ、リンコ、マナカから選んだもの) ラブプラス Select Box/(ネネ、リンコ、マナカから選んだもの) 【特典】 NEWラブプラス 3Dクリアファイル ラブプラスご当地ピンズ (ランダム1個) NEWラブプラス デラックス(ネネ、リンコ、マナカの3人から選べます。) メーカー希望小売価格:23,980円(税込) 【同梱商品】 NEWラブプラス “NEW○○デラックス”(ネネ、リンコ、マナカから選んだもの) 【特典】 NEWラブプラス 3Dクリアファイル ラブプラスご当地ピンズ (ランダム1個) NEWラブプラス collection of pictures(画集) 発売日 2012年3月22日(木) メーカー希望小売価格 1,890円(税込) ゲーム内、グッズ、パブリシティ、など「NEWラブプラス」に関連して描かれたイラストを収録! ※2011年末までに描かれたイラストが収録されています。 本商品はコナミスタイルにて抽選販売実施の「ラブプラス Art Book Complete Box」の化粧箱に収納できます。 NEWラブプラス Original Soundtrack(CD) 発売日 2012年2月14日(火) メーカー希望小売価格 2,520円(税込) ニンテンドー3DS「NEWラブプラス」に使用されているゲーム音楽を2枚組CDに収録したオリジナルサウンドトラックが登場! メインテーマBGM、キャラクターテーマBGM、各シーンのBGM等、全50曲以上を収録予定です。 NEWラブプラス メインテーマ 歌う ラブプラス DVD 発売日 2011/12/22 メーカー希望小売価格 3,570円(税込) 『NEWラブプラス』のメインテーマ「Colorful Days」他、カノジョが歌う映像をDVDに13曲収録! 更に、シングルCDには「Colorful Days」のリミックスバージョンを含む6曲を収録!! NEWラブプラス Character Song Extra Soundtrack(CD) 『NEWラブプラス』の"カノジョ" 高嶺愛花、小早川凛子、姉ヶ崎寧々がソロで歌うキャラクターテーマ曲3曲に加えて、 『ラブプラス アーケード カラフル Clip』のゲームBGMなどを収録した2枚組CDになります。 ラブプラスピンズご当地キャラシリーズ ラブプラス 等身大カレンダー 発売日 2011/12/29 メーカー希望小売価格 8,400円(税込) マナカ、リンコ、ネネの等身大の2012年カレンダーが登場!! 等身大イラストの下にカレンダーを掲載し、各キャラクターの誕生日も記載しています! お気に入りの彼女とラブな1年間をお過ごしください! 3DS周辺機器 [部分編集] NEWラブプラスモバイルバッテリー 発売日:2011/12/8 メーカー希望小売価格:3,980円(税込) コナスタ(市販もあり) 8GBSDHCカード「○○のココロ」 発売日:2012年2月14日(火) メーカー希望小売価格 2,604円(税込) ※初回版のみ100リッチのコード付き コナスタ(市販もあり) フィギュア [部分編集] ラブプラス+ figma 発売日 愛花:発売中 凛子:発売中 寧々:2011年12月 メーカー希望小売価格 3,200円(税込) コナスタ 一番くじプレミアム NEWラブプラス 発売日: 2011年11月下旬発売予定 価格: 1回800円(税込) 公式サイト ラブプラス トイズワークスコレクション にいてんご 【1BOX】 2012年01月発売予定 メーカー希望小売価格¥8,165 かわいくにいてんご化したカノジョを365日飾って楽しもう! ペーパークラフトで教室をジオラマ風に演出できます! ラインナップ 高嶺愛花 小早川凛子 姉ヶ崎寧々 高嶺愛花(私服デートver.) 小早川凛子(私服デートver.) 姉ヶ崎寧々(私服デートver.) 高嶺愛花(夢イベントver.) 小早川凛子(夢イベントver.) 姉ヶ崎寧々(夢イベントver.) 公式サイト ウェーブ製フィギュア【水着Ver.】 発売日 愛花 2011年11月下旬予定 凛子 2011年12月下旬予定 寧々 2012年1月下旬予定 メーカー希望小売価格 6,510円(税込) コナスタ(ピンズ付き) 小物 [部分編集] 2012年 卓上カレンダー Amazon(愛花) 書籍 [部分編集] ゲーム内イベント「読書月間」推薦図書 公式サイト TVBros. (テレビブロス) 2011年 11/12号 地域別NEWラブプラス表紙 Amazon5冊セット TVBros. 2012年2月4日号 ラブプラスぴあ 2012年2月10日発売 定価1365円 KONAMIの大ヒットゲーム「ラブプラス」の魅力にせまる1冊! 3人の国民的カノジョ、マナカ・リンコ・ネネの3人との出会いから恋人になるまで、 さらにはこの本で初めて分かる、カノジョたちのプロフィールなど、新しい情報も掲載。 また、ラブプラスシリーズの振り返りや、いままでのキャンペーンも総まとめ。 制作者へのインタビューはもちろん、2011年12月8日に発売予定のニンテンドー3DSソフト 「NEWラブプラス」の機能もたっぷり紹介いたします。 3人を知っている人も、初めて知る人にもわかりやすい、ラブプラス入門書です。 表紙はキャラクターデザインを務めるミノ☆タローによる描きおろし! 【豪華3大綴じ込み付録つき】 1.表紙イラストの特大ポスター 2.NEWラブプラスで使用可能なアイテムのパスコード ※本の表紙でカノジョたちが身に着けているマフラーになります。 3.夢イベント&スペシャルイラストカード 【CONTENTS】 ●ラブプラスのコンセプト ●3人のカノジョ(マナカ、リンコ、ネネ) 出会い、デート、恋人になるまでをイラストとともに紹介 青春の1ページモード紹介 3人のカノジョへ10の質問 ●ラブプラス 振り返り ラブプラス、ラブプラス+、ラブプラスキャンペーン ●制作者へ100の質問 プロデューサー・内田明理/キャラクターデザイン・ミノ☆タロー ●NEWラブプラス機能紹介 主な新機能を解説 【特別企画】ハワイデート 【商品詳細】 A4/オールカラー76ページ予定 ぴあBOOK SHOP公式(特典付き、送料無料) NEWラブプラス公式ガイド(ファミ通の攻略本) 3月22日発売予定 1,890円 内容紹介 全カレシのための最強マニュアル! カノジョともっと仲良くなれるヒミツが満載のガイドブックが登場。 マナカ・リンコ・ネネそれぞれの好みやファッション、イベントリストはもちろん、スポット、ショップ、アイテム、ToDoなどのデータベースも大充実! これさえあれば、満点カレシになれちゃうこと間違いナシ。 さらに、100リッチが手に入るパスワード付き、ミノ☆タロー氏描き下ろし特製カードも付いてます! プライズ [部分編集] NEWラブプラスぬいぐるみ〜制服ver.〜 公式サイト NEWラブプラスきゅんキャラアクセント『NEWラブプラス』キーホルダー 公式サイト その他 [部分編集] ラブプラスVISAカード ラブプラスVISAカードがついに誕生!ここでしか手に入らない「ラブプラス」特典が満載です! ■ ミノ☆タロー描き下ろしデザイン! カードデザインはラブプラスVISAカードのための描き下ろしイラストです。 ■ 年会費無料! 初年度無料です。翌年からは、前年度1回以上の買物利用で翌年度の年会費が無料となります。 ※ご入会後に「マイ・ペイすリボ」以外のお支払い方法に変更された場合は、翌年から通常の年会費1,312円がかかります。 ■ 国内外のVisa加盟店でご利用可能! 国内外のVisaマークのついているお店で、ご利用いただけます。 ■ 入会特典 「十羽野高校生徒証明書」をプレゼント! 学籍番号が印字された世界で一枚、あなただけのカード。十羽野高校の生徒の証です。今後、学籍番号を活用した様々なサービスも予定しています。 ■ 本カード会員限定!ゲーム内アイテムをプレゼント! ニンテンドー3DSソフト「NEWラブプラス」ゲーム内のプレゼントアイテム、三井住友VISAカードリボ払い キャラクター「ウリボー」とのコラボレーション傘が手に入る! “カノジョ”にプレゼントしよう! ※ゲーム中のパスワード入力画面に生徒証明書に印字された学籍番号を入力してね! ■ ポイントを貯めて「ラブプラスVISAカード限定景品」と交換! 毎月のお買物や公共料金のお支払いなどで貯まるワールドプレゼントポイント(※)で「ラブプラスVISAカード限定景品」と交換できます。 ※ワールドプレゼントポイントは1,000円ご利用につき1ポイント貯まります。 公式サイト 上記からダウンロードコード、パスワードが付いているものまとめ [部分編集] 8GBSDHCカード「○○のココロ」 初回版のみ100リッチ ラブプラスぴあ 表紙のマフラー 一番くじ Wチャンスの「ハズレ」で部屋着 週刊アスキー秋葉原限定版(無料配布) 帽子(寧々PW AsciiPlus、凛子PW AsciiAKB、愛花PW:AsciiWeek) ラブプラスVISA 傘 TVBros. 2012年2月4日号 ポシェット(凛子PW TVBrosLOVE 愛花PW:TVBrosLP 寧々PW TVBros)
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/79.html
「ラブちゃん、はい。これ、ミルクティーね。」 「……うん。」 「…あのね、最近美希ちゃんに紅茶の入れ方色々教わってるんだ。」 「………ふぅん。」 「……味、どうかな…?」 「………おいしーよ…。」 祈里はラブには分からないように、そっと溜め息を付いた。さっきからずっとこの調子だ。 あの気まずい別れ方をした買い物から一週間。せつなの様子が気になりつつもどうする事も出来ずにいた。 だから学校から帰宅した時、自分の家の前で一人佇むラブを見た時には心底驚いた。 上がっていいかな?そう尋ねるラブを二つ返事で部屋に招き入れた。 そのラブには似つかわしくない、少し硬い表情から決して楽しい話である訳ではないのは分かりきっている。 それでも、また気になっていたせつなの様子が聞ける。 不安、緊張、動揺、色んな感情がない交ぜになって手のひらに汗をかいてしまった。 しかし心の奥底が「嬉しい」と感じていた。 ラブが一人で。例えそれが祈里の不用意な行動を咎める為てあったとしても、自分から訪ねて来てくれた。 その事が自分でも信じられないくらいに嬉しかったのだ。 しかしラブは部屋に上がって見たものの、せつなの話どころか目も合わせようとしない。 遠慮がちに話かけてみても生返事がポツポツと返ってくるばかり。 こちらからせつなの様子を聞いてみてもいいものだろうか。 気まずさと居心地の悪さに逃げ出したくなりながら、祈里はラブのリアクションを待ち続けた。 チラチラとラブを伺いながら落ち着かなさに足がもじもじする。 部屋を見回すラブの視線。 ラブは祈里のベッドに腰掛けながら、シーツの端をいじくっている。 この部屋で、このベッドで何が行われていたのか。ラブは十二分に知っているのだ。 自分の恋人が親友に凌辱されたベッド。そこに触れながらラブは何を感じているのだろう。 淡いパステルカラーで纏められた、いかにも女の子らしい可愛らしい部屋。 それもラブの目にはどれほど穢れた淫靡な物として映っているのだろう。 まだ早かったのかも知れない。 祈里はつい舞い上がってラブを部屋に通してしまった事を後悔していた。 冷静でいられるはずがない。ここに祈里と二人きりでいるなんてラブには苦痛以外の何物でもない。 少し考えれば分かりそうなものだ。 何か適当に理由を付けて他所で話す事も出来たはずではないか。 (やっぱり、わたしってかなり駄目な子なんだわ…) 今からでも遅くない。部屋から出た方がいい。 何か言い訳……そうだ、図書館に返しそびれてた本があったっけ。 それを返しに行くって言えば……。歩きながらでも話せるよね。 「…あっあの、ねぇ。ラブちゃん、わたし、忘れてたんだけどちょっと図書館に用が…」 思いきって、そう声を掛けながらラブに近付いて行った。 「……ーーっ??」 ぐいっ、と手首を引かれ視界が反転する。背中でベッドのスプリングが弾み、天井が揺れて見える。 体にのし掛かる重み、シャツの裾がスカートから引き出され、ボタンが外されていく。 乳房が外気に晒されているのを感じて、ブラがずらされているのだと祈里はハッと我に返った。 「ーーっ!らっ、ラブちゃん!?」 思考停止しかけていた祈里が反射的にラブを跳ね退けようともがきかける。 「!!うぅっ、つぅ…! 」 力任せに乳房を鷲掴みにされ、祈里は痛みに顔を歪める。 揉むと言うよりは捻り、絞り上げるようなラブの指。 急激な刺激と下着の締め付けから解放された胸の先端が意志を無視して硬く尖る。 ラブはそこを容赦無くつねりあげた。 「いやぁぁ!!ーーっラブちゃんっ!」 「……おっきいね…。せつなより大きいな。」 ラブは祈里の悲鳴を無視しながら胸を乱暴にいじくり回す。 その淡々とした声に祈里の喉は一瞬で乾上がる。 恐る恐る目を向けると、そこにはすべての感情を押し隠したラブの顔。 すぅっ…と心に氷が張っていく。 「…ぅあ…、は……」 鈍い痛みに支配されていた胸にゾクリと甘い疼きが走る。 ラブが乳房を掴んだまま、その先端に舌を絡めてきた。 熱い口の中でも硬くなった乳首がきつく吸われ、ヌメヌメと舌が這い回る。 羞恥と混乱の中、自分の体が性的な快感に反応していると言う事実。 祈里は自分の反応の穢らわしさに頭の奥で赤い火花が散るのを感じた。 「いっ…イヤっ!ラブちゃん駄目!……あっ、やめ…っ!」 駄目だ。こんな事は絶対にさせちゃいけない。 こんな事をしたらラブが汚れてしまう。ラブの方が傷ついてしまう。 それに……、またせつなを悲しみの底に突き落としてしまう。 止めさせないと。突飛ばしてでも逃げないと……。 「……せつなは…嫌だって言うことも出来なかったんだよね…」 祈里の心の奥で何かがひび割れる音がした。 クタリ…と糸の切れたマリオネットのように力が抜ける。 あの夜のせつなが脳裏に蘇る。 抵抗すら許されず、気付いた時には信頼仕切っていた相手に裏切られ、体を汚された後だった。 絶望に彩られたせつなを更なる汚泥に沈めるような言葉を投げつけたのは自分。 薄ら笑いさえ浮かべ、せつなの心にナイフを突き立てたのだ。 ラブが祈里の足を割り、間に体を捩じ込む。 下着越しに触れてくる指に、祈里は目の前が暗くなるのを感じた。 秘裂をなぞられ、その上の突起を爪で引っ掻かれる。 そこは意志とは関係なく蜜を吐き出し、硬く勃ち上がってくる。 感じている。反応する自分の体に対する吐き気を催すほどの嫌悪感。 叫び、暴れ出したいほどの不快な快楽。 「……せつなはね、ここを弄られるのが好きなの…」 疼く突起を布で擦るようにしながらラブが囁く。 「…ゆっくり、焦らしながら口でされるのに弱いんだ。聞いてるこっちが蕩けちゃいそうな声出すんだよね。」 (やめて……ラブちゃん…お願いだから…) 「ブッキーだって知ってるよねぇ…?せつな、可愛かったでしょ?」 (知らない…!そんなの、知らない………) 知らない。自分から体を開き、愛撫をねだるせつななんて知らない。 甘い声で誘い、求めてくるせつななんて知らない。 唇を噛みしめ、きつく目を閉じ、時々堪え切れなくなって濡れた吐息を漏らす。 何も映らない虚ろな瞳。ただ温かいだけの人形。 それが、祈里の抱いていたせつな。 いや、違う。一度だけ知ってる。 初めての夜、意識の無いせつなを抱いた時。微笑みさえ浮かべながら柔らかく波打つ肌。 腕を伸ばし、体を絡め、うっとりと身を任せながら口付けに応えてくれた。 恋人との甘美な情事の夢に漂っていたせつな。 目覚めた後、親友の手で地獄に突き落とされるとも知らずに。 喉に込み上げる嗚咽を必死に飲み込む。 せつなを悲しませたくない? ラブを汚したくない? 嘘だ。自分が酷い目に合いたくないだけではないのか。 せつなを蹂躙しておきながら、自分が同じ目に合うのは耐えられないだけだ。 ラブの目が言ってる。 せつなはもっと苦しかった。 せつなはもっと悲しかった。 次は貴女が悪夢に追い立てられる番。 もう…甘い夢なんか見られない。 泣き叫ぶせつなを犯していた黒い影。 今夜からは自分が犯される夢を見る事になるだろう。 「ーっ!…うくっ、やぁっ…っ、あ…」 労りの欠片も感じられないぞんざいな愛撫。それでも体は忠実に刺激を受け取り、潤って行く。 嫌と言うほど思い知らされる。自分が玩んでいたのはせつなの抜け殻。 体なんて相手が誰でも触れられれば当たり前の反応を返すだけの物なのだから。 せめて涙だけは見せるまい。祈里は歯を食い縛り、喉の奥に声を閉じ込める。 意地か、罪の意識か、それとも捨て切れない矜持なのか。この行為で泣く事だけはしたくなかった。 (…………?) 不意に祈里を責め苛んでいた下腹部の感覚が遠退いた。 ずし…と体全体に重みがかかる。首筋の辺りにラブが顔を埋めている。 抑え、堪えるような息遣い。何かに耐えるように震える肩。 抱き締められている訳ではない。ただラブは祈里に覆い被さり、荒い呼吸を整えていた。 (…まさか、泣いてる……?) 「ダメだぁ……、出来ないよ…。」 「…………ラブ……ちゃん……?」 「……こんなの、無理………。」 「…ー!!」 諦めるような、呆れたような、少し震える声。 そこにはさっきまでの身を竦ませるような張り詰めた緊張感は消え失せていて。 「勘違いしないでよ……。ブッキーが可哀想とか、こんな酷い事出来ないとか、 そんなんじゃぜんっっぜんないからっ!!」 「………?」 「その気になれないの……。エッチな事とか…まっったく、そんな事する気分にならない。」 祈里の顔の横に両手をつき、ラブが体を起こす。 ベッドから降りるラブを見て、そのまま部屋を出て行くのかと思った。 だけど彼女はそうはせず、ベッドにもたれるように座り込んでいる。 「考えて見れば当たり前か。無理だよ、友達とこんな事するなんて。」 その時一瞬だけ合った視線。すぐに逸らされてしまったけど、その顔に浮かぶ表情。 気まずそうな、少し照れくさそうな、ばつの悪さを隠しきれない表情。 いつもの、よく知ってるラブの顔だった。 (…………友…達……………) 何気無く、発せられた言葉。ラブにすれば無意識の事だったのかも知れない。 そのあまりにもありふれた、特別視なんてしたこともなかった言葉。 (………友達……。) ラブへの罪の意識。ただ一人、せつなに求められる事への嫉妬、羨望。 しかしそれでも尚、捨て去る事の出来ない、狂おしい程の………。 ラブもまた、祈里のかけがえのない親友だと言う事。 姉妹のように育ち、お互い忘れてしまったような遠い過去から共有している記憶。 実の姉妹だってこれほど大切かどうか分からない、そう思えるほどに愛していた友達。 祈里の中で、ずっと堪えていた物が洪水のように堰を切って溢れ出した。 「ーーっ、ごめんっなさい…!」 祈里は両手で顔を覆い、溢れた涙を隠す。それでも震えて揺れる声は隠せない。 「…なんでよ。この状況でブッキーが謝るのはおかしくない?」 「…違う…!…違うの……!」 ラブだって本当は分かってるはず。 あんな事してごめんなさい。 ずっと謝らなくてごめんなさい。 それでも側に居続けてごめんなさい。 そして………… それでもまだ、せつなを愛していてごめんなさい。 何も言わないラブ。 夕暮れに染まり始めた部屋に祈里の嗚咽だけが響き続けた。 黒ブキ30へ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/351.html
第20話 許されなくても 「ラブちゃん、はい。これ、ミルクティーね。」 「……うん。」 「…あのね、最近美希ちゃんに紅茶の入れ方色々教わってるんだ。」 「………ふぅん。」 「……味、どうかな…?」 「………おいしーよ…。」 祈里はラブには分からないように、そっと溜め息を付いた。さっきからずっとこの調子だ。 あの気まずい別れ方をした買い物から一週間。せつなの様子が気になりつつもどうする事も出来ずにいた。 だから学校から帰宅した時、自分の家の前で一人佇むラブを見た時には心底驚いた。 上がっていいかな?そう尋ねるラブを二つ返事で部屋に招き入れた。 そのラブには似つかわしくない、少し硬い表情から決して楽しい話である訳ではないのは分かりきっている。 それでも、また気になっていたせつなの様子が聞ける。 不安、緊張、動揺、色んな感情がない交ぜになって手のひらに汗をかいてしまった。 しかし心の奥底が「嬉しい」と感じていた。 ラブが一人で。例えそれが祈里の不用意な行動を咎める為てあったとしても、自分から訪ねて来てくれた。 その事が自分でも信じられないくらいに嬉しかったのだ。 しかしラブは部屋に上がって見たものの、せつなの話どころか目も合わせようとしない。 遠慮がちに話かけてみても生返事がポツポツと返ってくるばかり。 こちらからせつなの様子を聞いてみてもいいものだろうか。 気まずさと居心地の悪さに逃げ出したくなりながら、祈里はラブのリアクションを待ち続けた。 チラチラとラブを伺いながら落ち着かなさに足がもじもじする。 部屋を見回すラブの視線。 ラブは祈里のベッドに腰掛けながら、シーツの端をいじくっている。 この部屋で、このベッドで何が行われていたのか。ラブは十二分に知っているのだ。 自分の恋人が親友に凌辱されたベッド。そこに触れながらラブは何を感じているのだろう。 淡いパステルカラーで纏められた、いかにも女の子らしい可愛らしい部屋。 それもラブの目にはどれほど穢れた淫靡な物として映っているのだろう。 まだ早かったのかも知れない。 祈里はつい舞い上がってラブを部屋に通してしまった事を後悔していた。 冷静でいられるはずがない。ここに祈里と二人きりでいるなんてラブには苦痛以外の何物でもない。 少し考えれば分かりそうなものだ。 何か適当に理由を付けて他所で話す事も出来たはずではないか。 (やっぱり、わたしってかなり駄目な子なんだわ…) 今からでも遅くない。部屋から出た方がいい。 何か言い訳……そうだ、図書館に返しそびれてた本があったっけ。 それを返しに行くって言えば……。歩きながらでも話せるよね。 「…あっあの、ねぇ。ラブちゃん、わたし、忘れてたんだけどちょっと図書館に用が…」 思いきって、そう声を掛けながらラブに近付いて行った。 「……ーーっ??」 ぐいっ、と手首を引かれ視界が反転する。背中でベッドのスプリングが弾み、天井が揺れて見える。 体にのし掛かる重み、シャツの裾がスカートから引き出され、ボタンが外されていく。 乳房が外気に晒されているのを感じて、ブラがずらされているのだと祈里はハッと我に返った。 「ーーっ!らっ、ラブちゃん!?」 思考停止しかけていた祈里が反射的にラブを跳ね退けようともがきかける。 「!!うぅっ、つぅ…! 」 力任せに乳房を鷲掴みにされ、祈里は痛みに顔を歪める。 揉むと言うよりは捻り、絞り上げるようなラブの指。 急激な刺激と下着の締め付けから解放された胸の先端が意志を無視して硬く尖る。 ラブはそこを容赦無くつねりあげた。 「いやぁぁ!!ーーっラブちゃんっ!」 「……おっきいね…。せつなより大きいな。」 ラブは祈里の悲鳴を無視しながら胸を乱暴にいじくり回す。 その淡々とした声に祈里の喉は一瞬で乾上がる。 恐る恐る目を向けると、そこにはすべての感情を押し隠したラブの顔。 すぅっ…と心に氷が張っていく。 「…ぅあ…、は……」 鈍い痛みに支配されていた胸にゾクリと甘い疼きが走る。 ラブが乳房を掴んだまま、その先端に舌を絡めてきた。 熱い口の中でも硬くなった乳首がきつく吸われ、ヌメヌメと舌が這い回る。 羞恥と混乱の中、自分の体が性的な快感に反応していると言う事実。 祈里は自分の反応の穢らわしさに頭の奥で赤い火花が散るのを感じた。 「いっ…イヤっ!ラブちゃん駄目!……あっ、やめ…っ!」 駄目だ。こんな事は絶対にさせちゃいけない。 こんな事をしたらラブが汚れてしまう。ラブの方が傷ついてしまう。 それに……、またせつなを悲しみの底に突き落としてしまう。 止めさせないと。突飛ばしてでも逃げないと……。 「……せつなは…嫌だって言うことも出来なかったんだよね…」 祈里の心の奥で何かがひび割れる音がした。 クタリ…と糸の切れたマリオネットのように力が抜ける。 あの夜のせつなが脳裏に蘇る。 抵抗すら許されず、気付いた時には信頼仕切っていた相手に裏切られ、体を汚された後だった。 絶望に彩られたせつなを更なる汚泥に沈めるような言葉を投げつけたのは自分。 薄ら笑いさえ浮かべ、せつなの心にナイフを突き立てたのだ。 ラブが祈里の足を割り、間に体を捩じ込む。 下着越しに触れてくる指に、祈里は目の前が暗くなるのを感じた。 秘裂をなぞられ、その上の突起を爪で引っ掻かれる。 そこは意志とは関係なく蜜を吐き出し、硬く勃ち上がってくる。 感じている。反応する自分の体に対する吐き気を催すほどの嫌悪感。 叫び、暴れ出したいほどの不快な快楽。 「……せつなはね、ここを弄られるのが好きなの…」 疼く突起を布で擦るようにしながらラブが囁く。 「…ゆっくり、焦らしながら口でされるのに弱いんだ。聞いてるこっちが蕩けちゃいそうな声出すんだよね。」 (やめて……ラブちゃん…お願いだから…) 「ブッキーだって知ってるよねぇ…?せつな、可愛かったでしょ?」 (知らない…!そんなの、知らない………) 知らない。自分から体を開き、愛撫をねだるせつななんて知らない。 甘い声で誘い、求めてくるせつななんて知らない。 唇を噛みしめ、きつく目を閉じ、時々堪え切れなくなって濡れた吐息を漏らす。 何も映らない虚ろな瞳。ただ温かいだけの人形。 それが、祈里の抱いていたせつな。 いや、違う。一度だけ知ってる。 初めての夜、意識の無いせつなを抱いた時。微笑みさえ浮かべながら柔らかく波打つ肌。 腕を伸ばし、体を絡め、うっとりと身を任せながら口付けに応えてくれた。 恋人との甘美な情事の夢に漂っていたせつな。 目覚めた後、親友の手で地獄に突き落とされるとも知らずに。 喉に込み上げる嗚咽を必死に飲み込む。 せつなを悲しませたくない? ラブを汚したくない? 嘘だ。自分が酷い目に合いたくないだけではないのか。 せつなを蹂躙しておきながら、自分が同じ目に合うのは耐えられないだけだ。 ラブの目が言ってる。 せつなはもっと苦しかった。 せつなはもっと悲しかった。 次は貴女が悪夢に追い立てられる番。 もう…甘い夢なんか見られない。 泣き叫ぶせつなを犯していた黒い影。 今夜からは自分が犯される夢を見る事になるだろう。 「ーっ!…うくっ、やぁっ…っ、あ…」 労りの欠片も感じられないぞんざいな愛撫。それでも体は忠実に刺激を受け取り、潤って行く。 嫌と言うほど思い知らされる。自分が玩んでいたのはせつなの抜け殻。 体なんて相手が誰でも触れられれば当たり前の反応を返すだけの物なのだから。 せめて涙だけは見せるまい。祈里は歯を食い縛り、喉の奥に声を閉じ込める。 意地か、罪の意識か、それとも捨て切れない矜持なのか。この行為で泣く事だけはしたくなかった。 (…………?) 不意に祈里を責め苛んでいた下腹部の感覚が遠退いた。 ずし…と体全体に重みがかかる。首筋の辺りにラブが顔を埋めている。 抑え、堪えるような息遣い。何かに耐えるように震える肩。 抱き締められている訳ではない。ただラブは祈里に覆い被さり、荒い呼吸を整えていた。 (…まさか、泣いてる……?) 「ダメだぁ……、出来ないよ…。」 「…………ラブ……ちゃん……?」 「……こんなの、無理………。」 「…ー!!」 諦めるような、呆れたような、少し震える声。 そこにはさっきまでの身を竦ませるような張り詰めた緊張感は消え失せていて。 「勘違いしないでよ……。ブッキーが可哀想とか、こんな酷い事出来ないとか、 そんなんじゃぜんっっぜんないからっ!!」 「………?」 「その気になれないの……。エッチな事とか…まっったく、そんな事する気分にならない。」 祈里の顔の横に両手をつき、ラブが体を起こす。 ベッドから降りるラブを見て、そのまま部屋を出て行くのかと思った。 だけど彼女はそうはせず、ベッドにもたれるように座り込んでいる。 「考えて見れば当たり前か。無理だよ、友達とこんな事するなんて。」 その時一瞬だけ合った視線。すぐに逸らされてしまったけど、その顔に浮かぶ表情。 気まずそうな、少し照れくさそうな、ばつの悪さを隠しきれない表情。 いつもの、よく知ってるラブの顔だった。 (…………友…達……………) 何気無く、発せられた言葉。ラブにすれば無意識の事だったのかも知れない。 そのあまりにもありふれた、特別視なんてしたこともなかった言葉。 (………友達……。) ラブへの罪の意識。ただ一人、せつなに求められる事への嫉妬、羨望。 しかしそれでも尚、捨て去る事の出来ない、狂おしい程の………。 ラブもまた、祈里のかけがえのない親友だと言う事。 姉妹のように育ち、お互い忘れてしまったような遠い過去から共有している記憶。 実の姉妹だってこれほど大切かどうか分からない、そう思えるほどに愛していた友達。 祈里の中で、ずっと堪えていた物が洪水のように堰を切って溢れ出した。 「ーーっ、ごめんっなさい…!」 祈里は両手で顔を覆い、溢れた涙を隠す。それでも震えて揺れる声は隠せない。 「…なんでよ。この状況でブッキーが謝るのはおかしくない?」 「…違う…!…違うの……!」 ラブだって本当は分かってるはず。 あんな事してごめんなさい。 ずっと謝らなくてごめんなさい。 それでも側に居続けてごめんなさい。 そして………… それでもまだ、せつなを愛していてごめんなさい。 何も言わないラブ。 夕暮れに染まり始めた部屋に祈里の嗚咽だけが響き続けた。 第21話 涙へ続く
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/601.html
精霊馬/ねぎぼう ~8月12日から16日までお盆にてお休みとさせていただきます~ ついこの間までは賑やかだったクローバータウンストリートの店々にシャッターが下ろされ、 この張り紙が貼られていた。 「ラブ、お盆って何?」 「お盆はね、えーっと……ご先祖様をお祭りするんだよ」 「ご先祖様?」 ラビリンスでは人間の誕生から死まで総統メビウスに管理されている。 『コントロール下におかれている』というのが正しい言い方であろう。 メビウスによって人が生まれ、もやは貢献することができなくなるくらい老いたものは寿命を終える。 ただそれの繰り返し。 親から子へ、子から孫へ家系を引き継ぐということもすでに廃されていた。 「ラブの家は代々畳屋さんだったのよね?」 「うん……そうだよ」 「あの畳はご先祖様がいたからあるのね」 「そうだね!」 ラブのベッドは祖父・源吉が一針一針に魂を込めた畳。 それは先祖達の魂でもあった。 ***** 「ただいま」 「おかえりなさい。ちゃんと手は洗った?」 あゆみの一声に、麦茶を飲もうとしていた二人はあわてて洗面所に引き返す。 手を洗ってうがいをし、改めて麦茶を飲んでいると、 「ラブー、せつなちゃーん、ちょっと手伝って」 「はーい、お母さん(おばさま)!」 二人はあゆみのところに行く。 「盆棚作るから、精霊馬作っておいてね」 「しょうりょううま、って何?」 「せつな、見ていて」 そういうとラブは台所から胡瓜、茄子、そして割り箸を持ってきた。 「こうやって作るんだよ」 二膳分の割り箸を続けて割るとさらにその割り箸を半分に折った。 ちょっと曲がった胡瓜を一本手にすると、折った4本の割り箸を胡瓜に突き刺していく。 「え? 食べ物にこんな悪戯していいの?」 いぶかしがるせつなをよそに、足の角度を整えていく。 「はい、出来上がり!」 胡瓜で出来た四足の動物のようなものが出来た。 「これが馬ということになっているんだ。せつなは牛を作って」 そういうとラブはせつなに茄子と割り箸を2膳渡した。 (牛……そういえばウエスターがこっそり飲んでいた『牛乳』はこの動物がだすのだったわね。 それが、どして?) せつなも箸を割ると見よう見まねで茄子に割り箸を突き刺していった。 「これでいい……かしら?」 「いいよ、せつな!」 そこにあゆみがやってくる。 「出来たの、供えておきましょう」 「送り牛はせつなが作ったんだよ」 「せつなちゃん、ありがとう。上手くできたわね」 その言葉に嬉しい気持ちになるせつな。 3人が盆棚に向かう。 盆棚にはすでにお供え物などが置かれており、ちょうど空いている場所に ラブとせつなが作った迎え馬と送り牛と供えられた。 「お盆にはご先祖様をね、この迎え馬であの世から早くお迎えするの。 で、この送り牛でお供え物と一緒にゆっくりお送りするのよ」 「あの世……」 (あの時、キュアピーチが差し出した四葉のクローバーに手を伸ばそうと した時に目の前から全てが消えた…… 自分の存在も消えていく…… アカルンが現れなければ……) 「せつなちゃん、どうしたの?」 「……いえ、何でもないです」 「あ、お母さん!今日は夕方のシフトだったよね?」 あゆみのパート先のスーパーマーケットには盆休みというものはない。 「そうそう、そろそろ行くわ。今日は夕ご飯の支度お願いね」 「はーい」 ***** あゆみがパートで家を後にした。 「ねえ、ラブ」 「どうしたの?」 「この世界の人は……死んだ人に……会いたいの?」 ラビリンスには、特定の時期に先祖の霊を迎えるという概念・文化はない。 「え?」 「ラビリンスでは、メビウスが寿命を決める。寿命が終わった人間のことを 考えることなどなかったわ……」 「そうだね。この間はナケワメーケと戦っているときに目の前が 真っ白になって……おじいちゃんの……夢をみたのかな…… きっとあの時は本当に会いたいと思っていたんだ」 「大切な人、なのね」 あゆみが精霊馬の話をした時に一瞬せつなの様子が変わったことにはラブも気付いていた。 イースの落命をその目で見た故に知る秘密。 「せつな」 ラブは背中からせつなを包みこむ。 かすかに震えているのを感じた。 「大丈夫だよ。せつなは、今ここにいるから」 「ラブ……」 「あたしね、おじいちゃんのことを思い出すのが本当は怖かったんだ。 小さいころ、おじいちゃんはもういないんだよって言われて……それが悲しくて……」 「そうだったの」 「でもね、もう逃げないから。あたし、おじいちゃんの思い、もう一度受け取ったから」 しばらく、時間が止まっていた。 「そろそろ、夕ご飯の支度をしないといけないわね」 「そうだね、今夜はラブちゃん特製のゲキうまハン……」 「ラブ、いつもそれじゃダメっておばさまも言ってたじゃない!?」 「たはは…… じゃ胡瓜と茄子があるから夏野菜のカレーにしようか」 「私、辛いのはちょっと……」 「だいじょうぶ!」 ラブは買い置きのバー○○○カレー甘口の箱と玉ねぎを持ってきた。 挽肉を冷蔵庫から出しつつ、手早く玉ねぎをみじん切りにすると深手のフライパンで 炒めはじめた。 いつものハンバーグを作る手順ではと思ったせつなは 「カレーを作るのよね?」 「そうだよ。このまま玉ねぎを炒めておいてね」 玉ねぎを炒める作業をせつなに引き継ぐ。 炒めている間にラブは精霊馬に使われなかった胡瓜と茄子を水洗いすると、 手早く一口大に切っていった。 炒めながら横目で箱に書かれたレシピを読んでいたせつながふと、 「ニンジン1/2本って書いてあるわ」 「ぎくっ……いいのいいの! 夏野菜のカレーだからね」 「そうなの?レシピ通り作ったほうが……」 「このカレーの作り方教えてもらった時は、ピーマンも入れるって言っていたよ」 「それは……嫌」 攻防はあっさりと休戦となる。 「そろそろ玉ねぎも炒まったね。お肉を入れよう」 塩コショウを施した挽肉を加えてさらに炒めていった。 香ばしい香りがただよう。 肉の赤みがなくなった頃合いに、切った胡瓜と茄子をフライパンに加え、 柔らかくなるまで炒めていった。 「せつな、水を入れるよ」 「カレーって鍋じゃないの?」 「だからちょっと大きめのフライパン使ったんだ」 水を加えてフライパンに蓋をする。 「後はしばらく煮込んで……と。せつな、トマトまだあるよね?」 「そうね。八百屋さんが明日から休みだからってたくさん買ったのよね」 「お母さん苦笑いしてたね。ルーと一緒にトマトも切っていれるんだよ」 「そうなの、それ、私が切るわ」 「じゃ、お願いね」 あゆみの手伝いも始めていたせつなは少しぎこちないながらもトマトを切っていく。 「どれくらいの大きさかしら」 「一口くらいでいいんじゃないかな」 「わかったわ」 煮込みがいい頃合いになったころに、ルーを割りいれ、先ほどせつなが切ったトマトを加える。 ルーが溶けた頃合いをみて、お玉でカレーを少し掬い取り、小皿に移すと、ラブが味見する。 満足そうな顔を浮かべたラブは、 「せつなも味見して」 以前食べたカレーが辛かったせいか、恐る恐る取り小皿のカレーを口にする。 せつなもぱあっと晴れやかな表情になった。 「そろそろお父さんが帰ってくるころだからサラダ切っておこうか」 「ええ」 ***** 圭太郎が帰ってきた。 「ただいま……今日はカレーだね」 「お帰りなさい!せつなと作ったんだよ」 「それは楽しみだね」 あゆみは閉店までのシフトのため、先に3人で食卓を囲む。 普通のカレーと違う具材に圭太郎は、 「いつものカレーとは違うようだなあ」 「夏野菜のカレーだよ。胡瓜と茄子が入っているんだよ」 「お盆なんだな……」 ひと匙すくって食べる。 「あまり辛くないカレーなんだ」 「おじさま、ごめんなさい」 「辛味ソース要る?」 「大丈夫、いけるねえ、これ」 「本当!?」 「よかったわ……」 新レシピは好評のようで、嬉しくなるふたりであった。 「お父さんの会社は明日から休みだから、明日はお父さんが晩御飯を作ろう」 「お父さん、また肉じゃがでしょ?」 「おじさまの肉じゃがは美味しいわ」 「せつな、そんなこと言っちゃだめだよ。お父さんも新しいレシピ覚えないと」 「これは参ったなあ……」 ***** 夜遅くにパート先から帰ったあゆみはテーブルに残した手紙を読む。 ~お疲れ様。カレー作りました。温めて食べてね。~ 先に仏間に向かうと、二人が作った精霊馬に目をやりつつ、仏壇に手を合わせた。 (お父さん、今年は2人の娘が待っていますからね)
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/446.html
「くらべっこ」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY クローバーの四人はダンスレッスンの後、シャワーを浴びて着替え中。 ミユキが手配してくれたスタジオはシャワーは二つしかない。 まずせつなと祈里。今はラブと美希が使っている。 そして、ロッカールームでの事。 「ねえ。せつなちゃん、ちょっといい?」 むにゅっ!! 「へ?ちょっ!!ーー何っ?!」 むにゅっ!むにゅっ!むにゅっ! 祈里がせつなの胸をブラの上から無遠慮なまでに揉みしだく。 今にもブラの中まで手を突っ込みそうな勢いだ。 「ちょっ、ちょっと!ブッキー!!」 「やっぱり!」 「何がっ!?」 「感触がね!全然違うのっ!」 「…………は?」 祈里は両手でせつなの胸を鷲掴みにしながら、キリッとばかりに顔を上げる。 「前から思ってたのね。せつなちゃんのおっぱいってさ、 こう、おっきいんだけどプルンとした感じって言うの? なんかね、わたしとは違うなぁって! どこがどうって上手く言えないんだけどさ……」 軽く興奮気味にまくし立てる祈里。 要するに、触って見たかった…と言う事らしい。 「……そ、そんなに違う?」 胸なんて、大きさ以外そんなに違いなんてあるものなの? 「違うんだって!ほら、わたしの触って見て!」 「…う、うん。じゃあ…。」 何でこんな事に?と思わないでもなかったが、取り敢えず 祈里のパステルイエローのブラに包まれた膨らみに手を伸ばす。 (でも、ホント大きいわよね。私も結構ある方みたいだけど、これはすごいわ……) ふにっ! 「あっ!」 「ね?」 「……うん。すごく、柔らかい…。」 「そーなの。せつなちゃんのおっぱいはさ、 柔らかいけどみっちり詰まってるって言うか…。 弾力があるんだよね。」 「ブッキーは…、何かふわふわしてる。」 「つきたてのお餅みたいだよ。せつなちゃんのおっぱい。 モチモチしててあったかい……。」 「これ、何だろう……?あっ!」 せつなはこの間ラブと食べたシフォンケーキを思い出した。 ふんわり柔らかいのにコシのある感触がそっくりだ。 「はぁ~。なるほど。わたしはスポンジ系。せつなちゃんはお餅系って訳ね。」 「ね、美希は?わざわざ私の触りに来るって事は、 美希もブッキーみたいな感じ?」 「そーなの。だいぶちっちゃいけど。ラブちゃんは?」 「ラブも私と同じ系統かしら。でも最近あんまり触ると痛がるのよ。 芯があるって言うか、この頃急に大きくなってきたのよね。」 「カップいくつ?美希ちゃんはAだけど。」 「Aってほとんどペッタンコじゃないの?」 「それがそーでもないの。アレはアレでなかなか……」 「ちょっと………ブッキー……」 「…………せつな……」 シャワーから帰って来たラブと美希が目にしたのは、 半裸でお互いの胸をまさぐり合う自分達の恋人の姿。 この子達は一体何を……。 思考停止しかけている二人のを見て、きょとんとするせつなと祈里。 そしてせつなは急に目をキラキラと輝かせて美希に迫って来た。 その顔に浮かんでいるのは純真な好奇心。 しかし、美希にはそんな事は理解出来るはずもなく…。 「美希!ちょっといい?」 言うが早いか、せつなは美希のTシャツを捲り上げ、その小ぶりな乳房を 手のひらで包み込む。 「!!ちょーーーっ!ちょっ!ちょっ!何なのよ?!」 「……ブッキー、ブラの上からじゃ分からないわ…。」 「あー…。美希ちゃん、ちっちゃいから……。 あっ、ラブちゃん、いい?」 祈里は地蔵の様に固まっているラブの胸元に、遠慮なく手を突っ込む。 「ふぇっ!?ーーー何何何何?」 「ホント!せつなちゃん系?ぷりぷりしてる!」 「ちょっと、ブッキー!イタイイタイ!!」 ゴツン!!!と鈍い音がして、せつなと祈里は頭を抱えてうずくまった。 ゲンコツを落とされたのだ。 「………つまり、胸の触り心地について研究し合っていた、と?」 「…ハイ。」 「その通りです。」 「まあまあ、美希たん。何も変なコトしてたワケじゃないんだし……」 「じゅーーっぶん、変でしょっ?!」 せつなと祈里は美希の前に正座させられ、ラブは美希の剣幕にヒッ!と 首を竦める。 (しかも、何?ブラの上からじゃ分からないって!) 「あー、でもさ美希たん。あたしもちょーっと興味あるかな~?なんて?」 「はあ?」 「イヤ、美希たんは気にならない? ねぇ、そんなに違った?」 ラブがせつな、祈里に話を振るとコクコクコク!と二人が頷く。 「何よ、触りたいワケ?ブッキーの。」 「ホラ、美希たんもせつな触っていいからさ!」 「ちょっと、ラブ!何勝手に……」 「「黙んなさい!」」 ラブと美希は目配せして、せーの!とばかりに目の前の二人に手を伸ばす。 「わはっ!何コレ?」 「あんっ!ラブちゃん、くすぐったい!」 「ちょっと美希!ブラの中まで触んないで!!」 「せつながブラの上からじゃ分からないって言ったんじゃない!」 「それは大きさのせいでしょっ?!」 そして、引きつった声が少女達の狂乱を遮った。 「………あなた達……何やってるの……?」 ほとんど下着だけの姿で息も荒く胸を触り合う四人の後輩を前に、 立ち尽くすしかないミユキ。 そんなミユキを見て、四人の小悪魔は申し合わせた訳でもないのに 同時にニヤリと口角を上げる。 「ミユキさぁん。ちょっといいですかあ?」 語尾にハートを付けたラブが代表でミユキに魔の手を伸ばす。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/155.html
「夕焼けの帰り道」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY 「せつなぁ、お待たせ!」 ラブが慌ただしく駆け寄って来る。 忘れ物を教室に取りに戻っていたのだ。 よくある事。始めのうちはせつなも付き合って一緒に戻っていた。 しかしあまりに頻繁なので、この頃はせつなは先にゆっくり行く。 大抵、大急ぎで往復してきたラブは校門の辺りで追い付く、と言う寸法だ。 「寒っ……!」 ラブがコートの襟を掻き合わせる。もう木枯らしの季節だ。 「マフラーもしてくればよかった。」 「さすがにまだ早いでしょ。それに……」 「??」 「また忘れ物、増えるだけじゃない?」 ラブはぷぅと子供のようにほっぺを膨らませている。 「まだそんなに寒くないじゃない。」 せつなはまだ制服のブレザーだけだ。 少し肌寒い気がするけど、歩けば温まるし。 「ラブは寒がりなの?」 「そーだよ。暑いのはヘーキなんだけどなぁ。」 いつもの帰り道。他愛ないお喋り。 学校で皆でワイワイするのも楽しい。 美希やブッキーと四人で過ごすのも大好き。 おじ様やおば様と家で過ごす時間もとても幸せ。 でも、ラブと二人きりで歩くこの時間はせつなのお気に入りだった。 「……ふわあ~…。」 「…ラブ?」 ラブが鼻をひくひくさせながらフラフラと、ある店先に吸い込まれて行く。 (??お肉屋さん?……今日、買い物の予定なんかあったかしら?) 「エッヘッへ~…!」 満面の笑みを浮かべるラブの手には揚げ立てのコロッケが一つ。 「もう!ラブったら。」 「だあってぇ……。あんまりイイニオイでさぁ!」 確かに、言われてみれば辺りには香ばしい脂の匂い。 「昨日もドーナツ買ってたじゃない。お小遣い、無くなっちゃうわよ。」 それに、もうすぐ夕御飯なのに。 ラブはそう無駄遣いするタイプではないが、事が食べ物になると 理性が働かなくなるらしい。 まぁ、それが無駄遣いで無くてなんなのだと言われればそれまでだが。 一つ一つは少額でもあまりに頻繁だから、結局いつも金欠でぴーぴー言う羽目になる。 「ちょっと。ラブ、聞いてる?」 お小言モードに入ったせつなを気にする風もなく、ラブはコロッケと同じくらい ホクホクした笑顔を浮かべている。 いつもせつなはこのシアワセ顔で何も言えなくなるのだ。 「ハイ!」 「……!!」 「半分こね!」 「…あ………ありがと…。」 どーいたしまして! ニヘへ!といつもの笑い声。 ラブは右手、せつなは左手でコロッケをかじりながら歩く。 カラッと揚がった衣が歯の間でカリカリと砕ける。 ポテトが甘く舌の上で蕩ける。 前に家で作ったコロッケは、もっとホクホクして塩味がしたっけ。 どっちも美味しいけど、こんなに味が違うの、どして? 「ラブ、足りないんじゃない?」 「んー?いいの。半分こするともっと美味しいよねぇ。」 「……。」 「それに沢山あるものじゃなくって、少ないものを分け合うのが 愛ってもんなのよ。」 「……なにそれ?」 口の回りに衣のクズを付けたまま、真面目な顔をするラブが可笑しくて。 「……?!」 そっと手が握られる。 そのまま繋いだ手はラブのコートのポケットへ。 ポケットの中で、ラブはせつなの手を指をしっかり絡め直す。 繋いだ手から熱が伝わる。頬と耳が熱くなる。 「あったかいね。」 「………うん。」 「おいしかったね。」 「………うん。」 「でも、せつなの作ったコロッケはもっとおいしーよ。」 「……明日、……作る。」 「えへへ、やったぁ!」 幸せゲットだね! そう言うラブの横顔もほっぺがピンクに染まっている。 二人の影が夕焼けに長く伸びる。 もうすぐ家。でも、もう少しだけ………。 ゆっくり、ゆっくり、歩く。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/93.html
Tears of the clover:episode.3 最近せつなに元気がないのよね…。 『ラブと喧嘩でもした?』 アタシは何となく心配で、せつなにメールしてみたんだけれど。 その夜は、いくら待ってても返信は来なかった。 翌日、アタシは学校帰りに偶然見てしまった。 ラブとブッキーがキスしてるところを。 なるほど。せつなの元気のない理由って、これだったのね。 ラブは、昔からブッキーを可愛いがっていたし、ブッキーはいつもラブのお尻を追いかけてたっけ。 一時期、アタシに熱を上げていた時もあったけれど、今思えばあれは、ラブを忘れるためにアタシに逃げていたのね。 ラブはきっと、ブッキーを愛してる自分にも気づいてしまったんだろう。 それは確かにずるい行為だと思う。 でも何となくわかる気がする。 アタシも小さい頃、ふたりの可愛い幼なじみを同じくらい愛していたから。 けれど、今頃きっとせつなは、何処かで泣いてるんじゃないかしら… こういう時、アタシの勘はとても良く当たるから不思議。 思ったとおり、いつものあの丘に、せつなはいた。 アタシは何も言わず、せつなの隣に腰かける。 せつなはアタシに気づいたけれど、何も言わず、瞳に涙をいっぱいに溜めて、アタシを見上げた。 何も話さないのに、せつなのくちびるはアタシに語りかける。 今だけ全部忘れたいの。忘れさせて。 美希なら忘れさせてくれるでしょ… 最初にメールした時、アタシは慰めるつもりだった。 けれど今はもう、この少女のことしか考えられなくなっている。 可憐に匂い立つ花に誘われる蝶のように、アタシはせつなに引き込まれ、ほのかに開いたくちびるをついばんだ。 くちづけた刹那、閉じた瞳からこぼれた涙を、アタシは次のキスで拭う。 アタシの胸の中で、青い炎のような思いが、静かに燃えはじめていた。 【ひと時でいいから】はR18により閲覧注意